みなさんは乳児血管腫(いちご状血管腫)というものをご存じでしょうか?
私はこどもに症状があらわれるまで、見たことも聞いたこともありませんでした。
この記事を書いている2023年6月現在、生後9ヶ月となりましたが今も治療中です。
まったくわからなかったため、インターネットでいろいろ検索しました。
ですが、意外と発症から治療のこと、そのほか私が疑問に思ったことを体験談として詳しく書いてあるものが少ないなと感じました。
私が困ったように、もし同じようなかたがいたら少しでも参考になればいいなと思い、治療の様子をきろくしていこうと思います。
このブログではいちご状血管腫と呼び以後、統一していきます。
こんな方におすすめ
- 赤ちゃんに赤いあざのようなものがでてきた
- いちご状血管腫の治療を開始するお子さんがいるかた
- いちご状血管腫の治療の様子を知りたい
- いちご状血管腫の治療法を検討している
目次
乳児血管腫(いちご状血管腫)ってどんな病気?
いちご状血管腫とはどのような病気なのでしょうか。
簡単に説明していきたいと思います。
乳児血管腫(いちご状血管腫)ってなに?
乳児血管腫(にゅうじけっかんしゅ)は、皮膚の表面や内部にできる「赤あざ」の一種で、未熟な毛細血管が増殖してあらわれる良性の腫瘍です。見た目が赤く、いちごのような外観から、「いちご状血管腫」とも呼ばれます。
引用元:マルホ株式会社「乳児血管腫(いちご状血管腫)はどんな病気?」より引用
こちらは生後3週間ごろ。
まぶたがうっすら赤くなっているのに気が付きました。
最初は、爪で引っ搔いちゃったかな?と思っていました。
それくらいはじめはうっすら赤くなっている程度でした。
(きれいに映っている写真がないのですが、最初はもっと狭い範囲で薄かったです。)
毛細血管の増殖期が1歳ころまでと言われており、うちの子もここからどんどん血管腫が赤く広がっていきました。
いちご状血管腫はどこにできるの?
血管があるところはどこでもできる可能性があります。
皮膚の表面だけではなく、皮下や内臓にできる場合もあり、首から上の部位にみられることが多いようです。
形は円形や楕円など丸みのあるものが多く、小さいものからこぶしほどの大きなものができることもあります。
名前の由来にもなったいちごのように膨らむものもあれば、うちの子のように膨らみはあまりなく後半にに広がるものもあります。
いちご状血管腫の治療方法は?
いちご状血管腫の治療方法は投薬治療、レーザーによる治療などがあります。
レーザーはレーザー治療が可能な整形外科になります。
マルホ株式会社のHPで病院が検索できますので、参考になさってください。
まずはかかりつけ医に相談すれば、治療可能な病院へ紹介状を書いてくれると思います。
いちご状血管腫は増殖期・退縮期・消失期とあり、1歳くらいまでは増殖期で大きくなります。7歳ごろまでには消えていくとされていますが、うっすら跡が残る場合があるため少しでも増殖をおさえるために早めに治療開始するのがいいと思います。
すぐに受診した方がいい場合
ここで、いちご状血管腫で早めに病院を受診した方がいいめやすを記載しておきます。
- 乳児血管腫の表面がただれている、または出血がみられる
- 目や鼻の近くに乳児血管腫と思われるものがある
- 唇、口の周辺、口の中に乳児血管腫と思われるものがある
- 乳児血管腫と思われるものが5ヵ所以上ある
- 乳児血管腫と思われるものがここ数日で急激に大きくなった
- 乳児血管腫かどうか分からないが皮膚の下が盛り上がっている
- 下図の部位に乳児血管腫と思われるものがある
引用元:マルホ株式会社「すぐにでも受診していただきたい目安」より引用
目にできると、血管腫が膨らんでまぶたが開きにくくなります。赤ちゃんの時期はだんだん見える世界が広がっていくようになりますが、まぶたの開きが悪いと視力が悪くなってしまうこともあるようです。
鼻は内部にできたり、外側が大きくなってくると鼻の穴をふさいでしまうため呼吸がしにくくなる可能性があります。
実際、うちの子はいちご状血管腫がない方の目よりまぶたが重く腫れぼったい感じでした。
病院受診から治療開始までのきろく
ここからは、最初に異変を感じてから病院受診、いちご状血管腫と診断され治療開始までの記録を紹介します。
実際にいちご状血管腫の写真をいくつか載せていますが、あくまでうちの子の場合ですので形や大きさ、膨らみ具合などはお子さんによって違います。
こういう症例もあるのか~という感じで見ていただけたらと思います。
いちご状血管腫に気づいてから小児科受診まで
最初に気がついたのは生後2週間ごろです。
この頃は写真ではわかりにくく、肉眼でなんか赤い?という程度。
なんとなくまぶたの上が赤くなってるかな~という感じでした。
当時はいちご状血管腫なんて病気しらないので、爪で引っ掻いちゃったかな?くらいに思っていました。
発見してから一週間くらいたったころ、生後1ヶ月くらいです。
全然治らないな。赤いのが広がってるし濃くなってるなと思いました。
最初はまぶたの上だけだったのが、まゆげやこめかみあたりまで広がっていきました。
さすがになにか変だなと思い、小児科を受診しました。
おそらくサーモンパッチだろう、だんだん消えていくのでこのまま様子見で。もし膨らんできたり大きくなったらいちご状血管腫かもしれない。
ということで、様子見となりました。
サーモンパッチって?
サーモンパッチもいちご状血管腫とおなじように、赤あざのようなものができます。あざの色が魚のサーモンのように見えることからサーモンパッチと呼ばれるそうです。
うちの子は小さい点のようなあざがいくつもある感じだったので、このような診断でした。参考で見せていただいた写真でも、おなじようなあざに見えました。
この時、いちご状血管腫の写真も見せてもらったのですが、私が見た写真はすごい膨らんでいるタイプのものでした。
サーモンパッチやいちご状血管腫の写真を検索したりしたのですが、いろいろな写真を見て私もサーモンパッチかなと思って納得しました。
1ヶ月検診から総合病院へ
1ヶ月検診前日の写真です。(実際には生後1ヶ月半ごろです)
このころには赤さが増し、若干膨らんでいますよね。
ただ、私が見せてもらったいちご状血管腫の写真とは膨らみ方が全然違いました。
少し気になるから明日の1ヶ月検診で相談してみようと思いました。
1ヶ月検診当日、小児科医師による診察がはじまったとたんに、これはいちご状血管腫だと言われました。
まぶたにあるので、早く治療した方がいいから早めに総合病院に行くようにと紹介状を書いてもらいました。
総合病院受診から大学病院へ
1ヶ月検診で小児科の先生に紹介され、総合病院の形成外科を受診しました。
そのころにはこのくらいまで赤く範囲が広がっていました。
まぶたの上あたりは少しだけ膨らんでいます。
そこで、レーザー治療と投薬治療があることを知りました。
ただ、目の上はレーザーができないため、投薬治療の必要があり結局大学病院へ行くことになりました。
うちの子の場合、目の上以外(こめかみあたり)はレーザーが可能なので、投薬とレーザーにするかはまた相談ということになりました。
ちょうどこの日の先生が大学病院からきている先生だったので、スムーズに大学病院の小児科に受診できました。
大学病院の小児科を受診し、投薬治療を開始することにしました。
ただし、この薬が副作用がでる可能性のあるくすりのため5日間の管理入院となります。
投薬治療のため管理入院
こちらは入院前日の写真です。
まぶたの上は本当にいちごみたいですよね。
これは生後2ヶ月半ごろです。
この入院記録は2022年当時ですので、今とは少し違うかもしれません。
付き添いは1名のみ、交代は禁止のため私が5日間一緒に入院することになりました。
これがそうとうきつかったです。
付き添い者のみ、院内のコンビニへは買い出しできるのですが、当然2ヶ月の子をおいて買い物なんかできるわけありません。
菓子パンやカップ麺、お菓子など大量に持ち込みました。
いちご状血管腫の治療に使用するくすりはヘマンジオルシロップというものです。
ヘマンジオルシロップとは
心臓の病気、不整脈、高血圧などの治療に使われているくすりです。
たまたま、乳児血管腫のあるこどもに治療目的で使用して、血管腫が小さくなったことに気づき臨床試験をおこない、乳児血管腫の治療薬として使用されるようになったものです。
日本では2016年から適応になった比較的新しい治療法です。
このヘマンジオルシロップを服用すると副作用がでる危険があるので5日間、医師が管理するもとで服用し副作用の有無を確認していきます。
ヘマンジオルシロップの副作用とは
- 低血圧
- 低血糖
- 呼吸困難
- 下痢や嘔吐
- 睡眠障害
これらの副作用がでる恐れがあるため、注意してお子さんの様子を観察する必要があります。
入院して一番最初に薬剤師さんから薬についての詳しい説明がありました。
幸いにも、うちの子は大きな副作用がでませんでしたので、投薬での治療を開始・継続することができています。
実は、入院中に下痢になってしまったのですが、先生に報告すると下痢はあまり薬とは関係ないかもとのことで継続になりました。
退院後も少し下痢をしていたのですが、整腸剤を服用しておさまりました。
下痢以外の不調はまったくなかったので、もしかしたら環境とかなにかほかに原因があったのかもしれませんね。
入院中のようす
管理入院中の様子について記載しますが、病院によって方法が違うかもしれないので一例としてこんな感じかなという程度に参考になさってください。
薬剤師さんから薬の説明を受け、いよいよ投薬開始です。
初日はほかにも入院中の注意事項などの説明もあり12時頃に最初の服用となりました。
看護師さんが薬をもってきてくれてのませます。
ビンにヘマンジオルシロップが入っているので注射器のようなもので吸い取りのませます。
うちの子はスムーズに問題なく飲んでくれましたが、飲むのを嫌がる子や吐きだしてしまう子もいるそうです。
シロップの量は最初は0.7mlから開始しました。
これを1日2回、間隔を9時間以上あけて服用していきます。
低血糖になる可能性があるため、空腹時には服用させてはいけません。
ヘマンジオルシロップ服用時の注意事項が書かれた冊子をもらいましたが、そこには目安として授乳感覚は5時間以上あけないようにとされていました。
授乳や食事後にあたえることとなっています。
入院中はこんな感じで、足にモニターを退院するまで1日中つけていました。
こちらで心拍数を計測していました。
薬を服用してから1時間後と2時間後に血糖値と血圧をはかります。
薬服用時と血糖値・血圧測定時以外は基本的には何もありません。
たまに先生が様子を見に来たりしましたが、ずっとこどもと二人きりです。
生後2ヶ月なので基本的には授乳と寝るの繰り返しです。
交代するひとがいないので、私自身の食事の用意やトイレは本当に苦労しました。
赤ちゃんを置いて長時間病室を離れられないので、ほぼ菓子パンやカップ麺ですごしました。
お湯はナースステーションでもらうことができたので、水筒に入れてもらっていました。
一番困ったのはお風呂です。
こどもの入浴と大人の入浴は別々に予約をしなければなりません。
大人はシャワー室なので、その間こどもを待機させる場所がない。
平日のみ、保育士さんがいて30分預けられるとのことでそちらをお願いしました。
ですが、赤ちゃんの入浴予約・大人の入浴予約・保育士さんの予約を取らなければならないのと、赤ちゃんの授乳や睡眠時間など考えて行動するのが本当に大変でした。
入院期間中5日のうち、祝日が1日あったのと予約がうまくとれなくて私が入浴できたのは3日でした。
授乳に合わせて薬を服用しますが、看護師さんが薬を管理しているので飲ませるときにナースコールをします。
看護師さんも忙しいので、ナースコールをしてから薬をもってきてくれるのに30分くらいかかるときもありました。
もともとあまりおなかがすいたで泣く子ではなかったので助かりましたが、薬の前に授乳ということはお腹が空いているタイミング、2ヶ月の子はまだたくさん寝るので早く授乳して寝かせてあげたい。
少し遅くなるだろうなと考えて早めにナースコールしたりしてました。
薬を服用して寝かしつけしますが、1時間後と2時間後に血糖値と血圧の測定があります。
血糖値は足裏に針をさして血を採取します。
この血糖値と血圧測定でだいたい半分の確立で起きてしまいました。
当時はまだほぼ3時間間隔の授乳でしたので、そこからまた寝かせてすぐ起こして授乳とこどもにはハードだったかなと思います。
足にモニターをつけたままの抱っこにすごく苦労しました。
しかし薬の服用時以外は本当にすることがありません。
大人の時間つぶしも必要だなと感じました。
簡易ベッドもレンタル可能ですが、私はレンタルせず子供用のベッドで一緒に寝ていました。
退院するころには私のからだはバキバキでした。
2日目は1.4ml、3日目は2.1mlとお薬の量を増やしていきました。
うちの子は2日目から下痢気味になり、いつもよりよく寝るようになりました。
普段よりとてもよく寝ていたので不安になり、下痢と一緒に報告してみましたが大丈夫とのことでした。
慣れない環境で疲れていたのかもしれません。
うちのこどもの場合、いちご状血管腫は皮膚の表面にでていましが、皮下にある可能性もあるので一応確認したいとのことでMRIを撮ることになりました。
ただ、ごく僅かの睡眠薬を使用して撮影する必要がありました。
結果的に、僅かすぎて一瞬寝たのですがいざ撮影でMRI室に入ると目覚めてしまい、撮影はしませんでした。
2.1mlまでお薬をふやしたところで、このままこの量でしばらく服用することになりました。
5日間、血糖値と血圧・心拍の測定を実施しましたが、副作用がでなくてよかったです。
無事に退院して、いちご状血管腫の治療を本格的に開始しました。
目の上以外はレーザーが可能なのでどうしようか悩みましたが、うちの子は投薬治療が必須でそれプラス痛いレーザーをあてるのは、こどもにも私たちにも負担があると感じたので希望しませんでした。
いちご状血管腫についてよくある質問
?乳児血管腫(いちご状血管腫)についてよくある質問
Q.1 子どもの顔に赤いあざがあるのですが、乳児血管腫(いちご状血管腫)と言われるものでしょうか?
A.1 そうとは限りません。赤いあざが起こる病気には色々な種類があり、経過や治療法はそれぞれ異なります。小児科または皮膚科を受診して、医師に正しい診断をしてもらうようにしましょう。
Q.2 乳児血管腫は腫瘍なのですか?
A.2 良性の腫瘍です。皮膚の表面や内部にできる「赤あざ」のひとつで、毛細血管が増えて生じる“できもの”とお考えください。
Q.3 乳児血管腫は、放っておいても治るのですか?
A.3 一般的に、赤みは小学校に上がる頃までに徐々に消えていきます。ただし、「あと」(瘢痕:はんこん)が残ることがあります。また、できた部位や大きさによっては、身体の機能や発達に悪い影響を及ぼしたり、「あと」が残りやすくなったりすることがあります。このような場合は、放っておかず早めに治療を始める必要があります。
Q.4 乳児血管腫は、診察の時点ですぐに診断がつくのでしょうか?
A.4 多くの場合は問診、視診、触診で診断がつきます。ただし、乳児血管腫ができた部位が皮膚の内部である場合は、超音波検査やMRIなどの画像検査を行うことがあります。また、他の病気と正しく鑑別するために、病変部位を採取して調べることもあります。
Q.5 病院を受診した際には、どんなことを聞かれるのでしょうか。
A.5 症状があらわれた時期、大きくなってきた時期、ただれや出血などの症状の有無などを聞かれますので、あらかじめメモしてから受診するとよいでしょう。なお、視診では、色やふくらみの状態、出血やただれの有無などを、触診では、かたさ、押した感覚などを調べます。
Q.6 乳児血管腫は、治療をすればきれいに治るのですか?
A.6 多くのお子さんでは、治療によって病変が小さくなったり、赤みが薄くなったりしています。ただし、病変の大きさや部位、治療の種類や治療を始めた時期などにより、改善のしかたには個人差があります。
私が実際に質問したことも記載しておきます。
念のため5時間以上はあけないように授乳したほうがよい
だいたい1歳くらいまでで経過を見て決める
スキップした後は必要ない。(その前に服用したあとに授乳がしっかりされていることが前提)
併用したから早く消えるということではないと思う
主治医の先生によっても見解が違うと思いますので参考程度に、担当の先生に確認してみてくださいね。
うちの子の主治医の先生は、ヘマンジオルシロップは1歳以降は効きが悪くなるとおっしゃっていましたが、あと数ヶ月で1歳になるのでその後は経過を見ながらかなと思っています。
夜間の授乳も先生によっては対応が違うこともあるようですが、主治医の先生の指示で飲ませています。
うちの子の場合、目の上はレーザーができないのですがこめかみ部分なら可能です。
併用して早く消えるならそっちの方がいいなと思ったのですが、そういうわけではなさそうでした。
小児科と形成外科の両方通っているのですが、どちらの先生も同じでレーザーやるならやってもいいよという感じでした。(これは薬が効き始めてから、まだ効いてないところにレーザー治療したら早く治らないかな?という思いで聞いてみたので、初めから併用していたらどうなっていたかはわかりません)
まとめ
いちご状血管腫の発症から、治療のための管理入院までの記録を紹介しました。
この記事を書いている2023年6月現在、こどもは9ヶ月となりましたが治療は継続中です。
きろく2として、途中経過の写真や授乳や離乳食などどのようにしているかも紹介しようと思います。
いちご状血管腫の形や大きさ、できる場所などはさまざまです。
一つの例として、誰かの参考になれば嬉しいです。